TKSS等の日記

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ハッセ-ダヴェンポートの関係式 その2

数列の性質を調べるための伝家の宝刀、母関数


g(χr)の母関数となる形式的冪級数
\bigsum_{k=1}^{\infty}g(\chi_k)t^k
について、これは前の結果より
\bigsum_{k=1}^{\infty}\quad\bigsum_{d|k}\quad\bigsum_{f{\in}S_{d}^{*}}d\lambda(f)^{\frac{k}{d}}t^k
と書き直せる。
これをSd*を1箇所に集めるような形で整理すると
=\bigsum_{d=1}^{\infty}{\quad}d\bigsum_{f{\in}S_{d}^{*}}\quad\bigsum_{j=1}^{\infty}\lambda(f)^{j}t^{dj}
となる。ここで最も内側にある和に注目すると
\bigsum_{j=1}^{\infty}\lambda(f)^{j}t^{dj}=\frac{\lambda(f)t^{d}}{1-\lambda(f)t^{d}}
となるので、これより
\bigsum_{k=1}^{\infty}g(\chi_k)t^k=\bigsum_{d=1}^{\infty}{\quad}\bigsum_{f{\in}S_{d}^{*}}\frac{d\lambda(f)t^{d}}{1-\lambda(f)t^{d}}
ということがわかる。これの両辺はtで割れるので割っておき、右辺について考えると
\frac{d\lambda(f)t^{d-1}}{1-\lambda(f)t^{d}}
は分子が分母の微分した形になっているので、不定積分が簡単に求まる。
ゆえ、積分してみると右辺は
\bigsum_{d=1}^{\infty}{\quad}\bigsum_{f{\in}S_{d}^{*}}-log(1-\lambda(f)t^{d})
となる。λ(f)tdのdはfの次数であることに注意して右辺の和をすべて
logの真数の積の形に直すと
log(\bigprod_{f{\in}S^{*}}(1-\lambda(f)t^{deg(f)})^{-1})
となる。次はこの真数の無限積について考察する。
これはRiemann-zetaにおけるeuler積表示に似ていることに気付くはずだ。
(zetaの場合は素数を渡る積、今回のは既約多項式(即ち多項式環の素元)を渡る積)
まだまだ長いので続きはまた次で。次かその次で終わるかな。