TKSS等の日記

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ガウス和とか

最近した計算をチョコっと。
χを素数pについての平方剰余記号とします。つまりχ(k)=(k/p)です。
ここではまずχ(-1)=1となる場合。即ちp≡1mod4の場合を考えます。


このχについて無限級数による関数
f(χ,t)=Σ[n=1,∞]χ(n)exp(-n2πt)
を定義します。t>0においてC級関数を定めます。
(tについて定義域内で広義一様収束することから従う)
χ(-1)=1であり、χ(0)=0とすれば、次のように変形できます。
f(χ,t)=1/2Σ[n∈Z]χ(n)exp(-n2πt)
これについてχがmodpでの剰余にのみ依存すること(即ちχ(p+k)=χ(k)であること)から
f(χ,t)=1/2Σ[k=1,p-1]χ(k)Σ[n∈Z]exp(-(pn+k)2πt)
    =1/2Σ[k=1,p-1]χ(k)Σ[n∈Z]exp(-(n+k/p)2πp2t)
と書き換えられます。この級数の項exp(-(n+k/p)2πp2t)についてみてみると、
これは急減少関数になっているので、Σ[n∈Z]exp(-(n+k/p)2πp2t)は
ポアソンの和公式が適用できる形になっています。
exp(-(n+k/p)2πp2t)のnを変数と見たフーリエ変換
1/(p√t)exp(2πink/p)exp(-n2π/(p2t))となりますから
ポアソンの和公式より
Σ[n∈Z]exp(-(n+k/p)2πp2t)
=1/(p√t)Σ[n∈Z]exp(2πink/p)exp(-n2π/(p2t))が成り立ちます。
これについてt→1/(p2t)と変換すると
Σ[n∈Z]exp(-(n+k/p)2/t)=√tΣ[n∈Z]exp(-n2πt)
ゆえ
f(χ,1/(p2t)=1/2Σ[k=1,p-1]χ(k)Σ[n∈Z]exp(-(n+k/p)2π/t)
  =1/2Σ[k=1,p-1]χ(k)√tΣ[n∈Z]exp(-n2πt)
=1/2√tΣ[n∈Z]{Σ[k=1,p-1]χ(k)exp(2πink/p)}exp(-n2πt)
となります。ここで
Σ[k=1,p-1]χ(k)exp(2πink/p)=χ~(n)Σ[k=1,p-1]χ(nk)exp(2πink/p)}
が任意のnについて成り立ちます。χ~はχの共役です。
(これはnがpの倍数でなければほぼ明らか。
nがpの倍数なら両辺とも0になるのでやはり成り立つ)
ゆえχが平方剰余記号であることからχ~=χであるので
Σ[k=1,p-1]χ(k)exp(2πink/p)=χ(n)g(χ)
となってχについてのガウス和が現れます。以上から
f(χ,1/(p2t)=g(χ)√t/2Σ[n∈Z]χ(n)exp(-n2πt)
となります。この右辺についてf(χ,t)のもともとの形を思い出せば、
f(χ,1/(p2t)=g(χ)√tf(χ,t)
という関数等式が成り立つ事が分かりました。
t=1/pとすればf(χ,1/p)=g(χ)/√pf(χ,1/p)となるので
f(χ,1/p)≠0が示せればg(χ)=√pが示せることになります。
一般にχ(k)=(k/p)、p≡1mod4という今の条件において、g(χ)=√pは正しく、
また数値計算によってもf(χ,1/p)≠0は正しそうなので、
f(χ,1/p)≠0を厳密に示せばガウス和の計算ができたことになりますが、
一般のpについてこれを示すのは難しそうです。
具体的なpについてなら計算機を援用すれば厳密にガウス和の計算ができるということになり
まぁまぁ役には立つでしょう。(大きなpについては収束が遅そうですが。)
またf(χ,t)のメリン変換は任意のsについて収束します。
(f(χ,t)がt→∞で急減少することと、f(χ,t)の関数等式から示せる)
そのメリン変換はf(χ,t)の定義からすぐに
χについてのL関数L(χ,2s)が現れることがわかります。
またf(χ,t)の関数等式を用いれば
LC(χ,s)=Γ(s/2)π-s/2L(χ,s)についての関数等式
LC(χ,s)=g(χ)/psLC(χ,1-s)が示され
s=1/2のときを考えれば、L(χ,1/2)≠0が示せれば
やはりガウス和の計算ができたことになります。
あとは、L関数の一般論という事になりますが、それが難しいのですよねぇ。
f(χ,t)の関数等式からL(χ,1/2)の計算機に乗る形も求められます。
(こちらの収束性はpの大きさに殆ど依存しません)
が、こっちも一般のpに対してどうこうできそうな物ではないな。


非常に大きなpに対して平方剰余記号がランダムに振舞うとか仮定して
確率論的な話に持っていくとまたそれはそれで面白そうだが、
その辺は全く無知だしなぁ。チョコっと計算機に乗っけてみた感じ
f(χ,t)は1/pあたりで最大値を持って、最大値はpが大きいほど大きくなりそうだったので
1/p→+0(p→∞)でかつt→+0でf(χ,t)→0であることを踏まえると
p→∞での極限関数の原点近傍での振る舞いはかなりおかしげなことになりそうだ。
まぁでもそのメリン変換は定まりそうな気もする。f(χ,t)は原点付近に
その重みの殆どをもつ感じになるから、積分すれば綺麗になるような。


まぁどちらにせよこの方面でガウス和計算はちょっと無理かな。
「L関数やゼータのココロ」みたいな物は少し分かったのでよしとしよう。


ちなみにχ(-1)=-1即ちp≡3mod4の場合もfに少し工夫を加えれば
同様の議論が可能。