TKSS等の日記

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差分方程式その2

対数関数の差分化と定和分について


連続的な世界においても、(自然)対数関数はかなりナイーブな物です。
その定義にも色々と方法があり、なかなか厄介なのですが
いずれにせよその最たる性質は微分すると1/xになるということです。
差分化においてもΔ+xf(x)=1/xとなるもの
対数関数の差分化として考えるのが1番妥当でしょう。
普通の解析においては、1/xの定積分として対数関数を定義する事が出来ます。
それに従えば、差分化された対数関数は1/xの定和分として定める、
と言う方法がまず考えられます。


じゃぁ定和分て何よという話になりますが、
これは簡単で数列の和という事になります。
離散的な点x=nd (n∈Z)で定められた関数f(x)=f(nd)=fnに対して
a=kdからb=ldまでの定和分をS[a,b]f(x)と書き
S[a,b]f(x)=Σ[j=k,l-1]d*fj
で定めます。簡単ですな。これによって次のようなことを考えます。
f(x)に対して、定和分によって次のような関数g(x)を定めます。
g(x)=g(nd)=S[d,x]f(x)=Σ[k=1,n-1]d*fk
g(x)の差分を考えると
Δ+xg(x)
={g(nd)-g((n-1)d)}/d
={Σ[k=1,n]d*fk-Σ[k=1,n-1]d*fk}/d
=f(nd)
=f(x)
となります。これは微分積分学の基本定理に対応する物です。
さて、この議論を1/xに適用し
l(x)=l(nd)=S[d,x]1/x=Σ[k=1,n-1]d/(kd)=Σ[k=1,n-1]1/kと定めれば、
このl(x)の差分は1/xとなりl(x)は対数関数の差分化の一種ということが分かります。


しかし、このl(x)はいまいち正体不明です。もともとの対数関数との繋がりが見えず、
離散的な点x=ndの上でしか意味をもちません。
xを一つ固定し、それに対して意味をもつようにdを取りながらd→0としていくと
だんだんと項数の増える調和級数になるので発散してしまいます。
差分化でありつつ連続的な点で意味をもち、
d→0でlog(x)となるような差分化はどのような物なのか。
そこには再びガンマ関数がかかわってくるのですが、長くなるのでとりあえずここまで。


追記
l(x)に手を加えて、d→0でlog(x)に収束させるだけなら
別にガンマ関数まで持ち出さなくてもいいことに気付く。
そこにはπ,eに次ぐ第三の(そして一般人は誰も知らない)定数
オイラーの定数γがかかわってきます。


そして差分化された関数の定義域の拡張の段階でガンマ関数を導入します。