TKSS等の日記

日常時々数学競馬ラノベetc

三角関数の初等的展開 その2

不等式は苦手です。今回は不等式が成り立つ条件探しって感じですが。


記号は昨日の記事と同様という事で。
先に得た式
sin(x)/{mcosm(x/m)tan(x/m)}=Π[k=1,n-1]{1-tan2(x/m)/tan2(kπ/m)}
についてm=2nを十分大きく取り、x≧0に対してx<kπとなるものを考えれば
1>1-tan2(θ/m)/tan2(kπ/m)>0
と出来ます。
これより任意のx≧0に対しhをhπ>xを満たす自然数としn>hとしておき
Π[k=1,h]{1-tan2(x/m)/tan2(kπ/m)}
を考えます。h+1番目からn-1番目(つまり最後)の物までが無くなっているものになっています。
(n=h+1なら元のままということです。)
これらの項は、上で言ったことから0より大きく1より小さいので
この式は元のものより大きくなります。ゆえ
sin(x)/{mcosm(x/m)tan(x/m)}≦Π[k=1,h]{1-tan2(x/m)/tan2(kπ/m)}
となります。これはnをより大きくしても成り立つので、n→∞とします。
左辺は昨日言ったようにsin(x)/xに収束します。
右辺については、今項数hはnと無関係なので、各項ごとに極限を取ってよいので
右辺のn→∞での極限はΠ[k=1,h]{1-x2/(kπ)2}となり
これより不等式
sin(x)/x≦Π[k=1,h]{1-x2/(kπ)2}
が成り立ちます。この式のhについてもより大きなhについて
いつでもこの不等式が成り立つのでh→∞として良く、これより
sin(x)/x≦Π[k=1,∞]{1-x2/(kπ)2}
と出来ます。この右辺が意味をもつのは
Π[k=1,h]{1-x2/(kπ)2}
がhを大きくするごとに単調減少し、常に正であることから分かります。


後は逆側の不等式
sin(x)/x≧Π[k=1,h]{1-x2/(kπ)2}
を示せばよい事になります。これまたちょっと長いのでとりあえずここまで。
次回は一つキーポイントになる不等式を示します。
他愛ない式ですが自力で証明つけたときは感動物でした。