TKSS等の日記

日常時々数学競馬ラノベetc

続、有限体

ノルム、トレースについて。


ノルムは
Nr:Fqr→Fq
Nr(x)=x*xq*xq2*…*xqr-1
と定める。このとき、当然ながら
∀x∈Fqr,Nr(x)∈Fq

Nr(x)q=xq*xq2*…*xqr
x∈Fqrよりxqr=xゆえ
Nr(x)q=Nr(x)
ゆえNr(x)∈Fq
また、定義から明らかに∀a,b∈=Fqrについて
Nr(ab)=Nr(a)Nr(b)


Nr全射となる。

0は明らかに0に移り、それ以外の元は0に移らない。その他の元については
Nrを乗法群の準同型と見ると
ker(Nr)={x*xq*xq2*…*xqr-1=1}
であるので、これをxについての方程式とみなすと、その解の数は重解を持たないので
1+q+q2+…+qr-1=(qr-1)/(q-1)個。
ゆえ、準同型定理から#Im(Nr)=#Fqr/#ker(Nr)=(qr-1)/{(qr-1)/(q-1)}=q-1
#Fq*=q-1ゆえ、全射性がわかる。


トレースは
Trr:Fqr→Fq
Trr(x)=x+xq+xq2+…+xqr-1
と定める。ノルムと同様な方法で、これも∀x∈Fqr,Trr(x)∈Fq
またchar(Fq)=pとすれば(a+b)p=ap+bpであるので
これを何回も適用することで
∀a,b∈=Fqrについて
Trr(a+b)=Trr(a)+Trr(b)
また、Trrは加法群についての準同型であるので
その核の位数を考えれば、ノルムのときとやはり同様に全射性が示せる。