TKSS等の日記

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有限体あれこれ。

ゼミの方では現在有限体上での話が主になってます。
で、あれやこれやを勉強したのですが、ある目標に向け、
それに必要な知識をまとめてみます。


xが有限体Fqdの元⇔xqd-x=0

x=0なら明らか。x≠0とするとx∈Fqd*
ゆえ、#Fqd*=qd-1より
xqd-1=1となる。両辺にxをかければ
xqd-x=0を得る。

上の結果からFqd上の多項式xqd-xは
xqd-x=Π[α∈Fqd](x-α)
と言う因数分解を持つ。Fqd[x]は体上の1変数多項式環なのでUFD。
ゆえ、この分解は一意的である。
よってFqの代数的閉包をFq~とした時、
β∈Fq~がβqd-β=0を満たしたとすると
Π[α∈Fqd](β-α)=0となるので
∃α∈Fqd β-α=0、即ちβ=α
ゆえβ∈Fqd //


以上の補題から、有限体Fqと、その代数的閉包Fq~を固定した時
Fqの体の有限次拡大Fqr
Fqr={x∈Fq~|xqr-x=0}
として一意的に決まる事がわかる。
このことを踏まえ、次を示す。


有限体FqdでFq上既約なd次多項式f(x)は1次式の積に分解する。

まず、任意のFq上既約なd次多項式f(x)はFqdで根を持つ事がわかる。
なぜなら、Fq上既約なd次多項式fを考えた時
fのFq~上での根をαとすると
上の結果からFq[α]=Fqdであるのでα∈Fqd
(追記 元の数によって一意に体が定まるからFqdと書けるんであって
上の一文はよく考えるとなんか変だ。ここはやはり二つの既約多項式を使って言及すべきか)



またφ:Fqd→Fqd
φ(a)=aqを考えると、これは体同型写像となる。
かつb∈Fqについては上の結果らbq-b=0よりbq=bとなるので
φをFqに制限した時、これは恒等写像。すなわちφはFq同型。
ゆえαがfの根であるなら、φ(α)=αqもfの根となる。
以上よりα,αqq2,…,αqd-1はそれぞれfの根となる。
また、これらは全て異なる元となる。仮に0≦j≦k≦d-1として
αqjqkとなったとするとk-j=lとして
ql-α)qjqkqj=0
となるのでαql-α=0より、l≠0とするとα∈Fqlとなるが、
このときαのFq上での最小多項式はl次のはずであり、l≦d-1ゆえ
これは仮定に反する。よってl=0となるので
j≠kであればαqj≠αqkとなる事がわかった。
これより、fのd個の根はα,αqq2,…,αqd-1であり
全てFqdの元である事がわかったので
d次既約多項式fはFqd上で1次式に分解する事が言えた。


上のことから体の拡大Fqd/Fqは有限次ガロア拡大であり
そのガロア群はφを生成元とする巡回群であることもわかる。