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ガンマ関数

ゼミ準備。なんかRiemann-zetaの関数等式を示すみたいですな。ちょっとビックリ。
前の記事はフーリエ変換でしたが、ガンマ関数も
メリン変換と呼ばれる変換をある関数に施して得られる関数になっています。
メリン変換と言うのは広いクラスでフーリエ変換ラプラス変換の一般化になっています。
上ででてきたRiemann-zetaの関数等式もテータ関数のメリン変換から得られるらしいです。


ガンマ関数には有名な関数等式
\Gamma(s+1)=s\Gamma(s)
がある。ガンマ関数が自然数における階乗の拡張になっていることの証であるから
まずこれが一番重要と思ってよいと思う。
これ以外にも\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\frac{\pi}{sin({\pi}s)}
が相補公式と呼ばれ、利用される事が多い公式。そのほかにも
\Gamma(\frac{s}{2})\Gamma(\frac{s+1}{2})=\sqr{\pi}2^{1-s}\Gamma(s)等がある。


1番最初の式は証明も簡単なので省略。2つ目と3つ目について証明をつけようと思う。
定義域は解析接続によって複素平面上に拡張されるが、証明内ではともに実関数とする。
だから2つ目については0<s<1で3つ目については0<sとなる
複素領域でも成り立つことは一致の定理による。


まず、ガンマ関数とベータ関数の関係式から
\Gamma(s)\Gamma(1-s)=B(s,1-s)={\Bigint}_0^1\;x^{s-1}(1-x)^sdx
が成り立つ。右辺の積分について、x/(1-x)=tと置換すると
積分範囲は0〜∞となり、x=t/(1+t)となるから、dx=dt/(1+t)2となるのでこれらから、
{\Bigint}_0^1\;x^{s-1}(1-x)^sdx={\Bigint}_0^\infty\;\frac{t^{s-1}}{1+t}dt
となる。ここでsを有理数とするとs=q/p p,q∈N GCD(p,q)=1p-1≧q とできる。
このときt1/p=yと言う変数変換を再び行うと、積分範囲は変わらず,dt=pyp-1であるので
{\Bigint}_0^\infty\;\frac{t^{s-1}}{1+t}dt=p{\Bigint}_0^\infty\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy
が得られる。( p-(q-1)≧2だから右辺はちゃんと収束します。)
右辺の積分を計算する。がりがり計算すると一般に部分分数分解できて
実数の範囲で積分計算が出来るのですが、かなり面倒なのでここは留数定理を使う。
積分路Cは原点から実軸に沿って正の方向にR進み、
そこから原点中心の半径Rの円の円周に沿って偏角が2π/pになるまで進み
そこからまっすぐ原点に戻る道。
はxp+1=0の解がexp((2k+1)πi/p),k=0〜k-1とかけることから、
積分路の内側に含まれる被積分関数の極はx=exp(πi/p)のみ。その留数は
\lim_{x{\rightarrow}e^{\frac{{\pi}i}{p}}}\frac{(x-e^{\frac{{\pi}i}{p}})x^{q-1}}{x^p+1}で与えられる。
ロピタルの定理が適用できるので分子分母を1回微分し、それぞれにxをかけると
\lim_{x{\rightarrow}e^{\frac{{\pi}i}{p}}}\frac{qx^q-(q-1)e^{\frac{{\pi}i}{p}}x^{q-1}}{px^p}=-\frac{e^{{\frac{q{\pi}i}{p}}}}{p}となるので、留数定理から
{\Bigint}_C\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy=-2{\pi}i\frac{e^{{\frac{q{\pi}i}{p}}}}{p}となる。
また、左辺の積分を定義どおり計算すると、R→∞で弧の部分の積分は0に収束する。(面倒なので証明略)
よってR→∞のとき
{\Bigint}_C\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy={\Bigint}_0^\infty\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy-e^{\frac{2q{\pi}i}{p}}{\Bigint}_0^\infty\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy
となるので、留数定理から得られた結果とあわせて整理すると
\large{\Bigint}_0^\infty\;\frac{y^{q-1}}{1+y^p}dy=-2{\pi}i\frac{e^{{\frac{q{\pi}i}{p}}}}{p}\frac{1}{1-e^{\frac{2q{\pi}i}{p}}}=\frac{\pi}{p}\frac{2i}{e^{\frac{q{\pi}i}{p}}-e^{\frac{-q{\pi}i}{p}}}=\frac{\pi}{psin(\frac{q\pi}{p})}
よって、s=q/p p,q∈N GCD(p,q)=1p-1≧qとしたとき
\large{\Bigint}_0^\infty\;\frac{t^{s-1}}{1+t}dt=p\frac{\pi}{psin(\frac{q\pi}{p})}=\frac{\pi}{sin({\pi}s)}
が得られる。よって任意の0<s<1の有理数sについて、
\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\frac{\pi}{sin({\pi}s)}
が成り立つ。両辺はともにsについての連続関数であるから結局0<s<1の実数で成り立つ。


長い。がある程度初等的で、かつこれでもそれなりに短い証明のはず。
どうでもいいが、この証明は結構珍しい手法ではないかと思っている。
(複素解析を使わなくとも重積分が出来れば実関数としては示せる。)
他の証明法としては、ガンマ関数とsinをともに無限積展開して直接示すもの。
考え方はとてもシンプルだが、無限積展開を示すのはうえと同じくらいかかるはず。


次はもう一つの方。こっちはルベーグ積分を使うとそこそこ簡単。
ルベーグ積分を使うところを初等的なリーマン積分で済まそうとするとちょっと大変そう。
(そっちはまだ考えてない)