今回で終了。
無限級数
について、1次の項の係数は以前の議論によりg(χ)である事がわかっているので
それ以上の項の係数、即ちk≧2のとき
がどうなるかと言う事が問題になる。が、以前のような
既約多項式のみを扱うかたちではなく、その次数のすべての多項式を扱うので
これは非常に簡単。例えばk=2のとき、2次モニック多項式は一般に
f(x)=x2-a1x+a2 a1,a2∈Fq
とかける。このときa1,a2は互いに束縛せず自由に動く。よって
と書き直せる。これは和の順序を入れ替えて整理すれば
となる。ここで仮定よりψは非自明であったので、有限群の指標の一般論より
であるので、結局2次の項の係数は0であることがわかる。
k>2であっても議論は基本的に変わらない。k次の多項式について
k-1次の項と定数項の組み合わせのパターンは2次の場合と変わらない。
k-1次の項と定数項の組み合わせを一つ決めた時、それを満たす多項式は
それ以外の次数の項のパターンだけあるからqk-2個あることになるが
これらのfについては、k-1次の項と定数項の組み合わせが同じなのだから
λ(f)は全て等しいことになる。よってk>2の場合は
となることがわかるが、これはやはり0である。結局、最初の無限級数について
となり、無限級数と思っていたものが実は多項式であったことがわかる。
元々は無限積を展開したものであったので、そこまで戻ってみると
であり、もともとのg(χr)の母関数まで戻れば
となり、微分を実行すれば
という母関数の閉じた表示を得たことになる。右辺は無限等比級数の和の形であるから
展開してやれば
となるので各項の係数を比較することで
と分かる。これがいわゆるHasse-Davenport relationである。
合同ゼータ関数なんかにはこの関係式が必要になってくる場合がある。
結果からみると、母関数まで使わずとも、漸化式が立てられるのではないかと思い
いくらか計算を試みたが、かなり煩雑で、その辺の煩雑な処理を
母関数の側で自動でやってくれているのだなと言う印象。
まさに「伝家の宝刀」といった感じである。
とりあえずこのネタは一旦終了。ガウス和関連だと個人的には
Fpの2次の指標(つまり平方剰余記号)のガウス和の符号決定
をやってみたいのだが、借りてこようと思った本が見つかりません。どうしたものか。