今回はテータ関数の定義とそれが満たす関数等式の導出。
といってもポアソンの和公式からすぐ出てくるのですけどね。
解析的整数論において重要な関数の一つで、有名なラグランジュの
「4平方和定理」などもこの関数を利用して証明できたりするらしいのですが、
今回は専らRiemann-zeta関数の全複素平面への解析接続、
及び関数等式の導出のために用います。
いずれは、解析的整数論の初歩も学んで、ラグランジュの定理や、
素数に関する諸定理(素数定理、算術級数定理、チェビシェフあたり)なんかも
紹介できればと思いますので、興味のある方がいらっしゃれば
気長に待つorコメントで急かすなどでお願いします。
定義はそう難しいものでなく、
によってテータ関数はt>0に対して定義される。
ここで注意すべきなのは無限和の各項を成す関数e-n2πtが
nを変数と見たときt>0とすれば急減少関数になっているということである。
このことにより、定義式の右辺がt>0で(広義)一様収束する事が容易に示される。
次のようにすれば分かる。
a>0をとってt≧aとする。テータ関数の定義は
と書き換えられる。
急減少関数e-πax2を考えれば、その急減少性より
あるR>0があってx≧Rならばx2e-πax2≦1が成り立つように出来る。
これよりあるNがあってn>Nならば
e-n2πt≦1/n2が成り立つように出来るので
となり、右辺の級数は収束することから、テータ関数の収束性が示され、
tに無関係に抑えられていることから、一様収束性が示される。
複素数tに対して|e-n2πt|=e-n2πRe(t)であるので
定義域をt>0の実軸上から、Re(t)>0をみたす右半複素平面上に拡張できることも容易に分かる。
また、テータ関数は急減少関数の整数値を渡る和として定義されているので
そのままポアソンの和公式が適用できる。
その際e-πx2tのフーリエ変換
を計算する必要があるが、これはガウス積分の結果と、コーシーの積分定理などから
となるので、ポアソンの和公式から
がえられる。これからテータ関数の満たす関数等式
が示される。
もとの定義式とこの関数等式からテータ関数のt→∞での振る舞いと
t→+0でも振る舞いを調べる事が出来る。
もとの定義式から、t→∞のときn=0の項以外は0に収束することから
t→∞のときθ(t)→1であることがわかり、また
関数等式によって得られた級数からt→+0のときθ(t)〜1/√tとなることがわかる。
今回は細かい計算を省き気味ですが、まぁこんなところ。
この関数のメリン変換を考えることでリーマンゼータの関数等式を導きますが
その際に今回示した関数等式が重要になってきます。